コダーイ・ゾルターンの言葉



 大作曲家は、だれも、偉大すぎて、小さいものたちのために曲が書けないということはない。それほど偉大だという作曲家、芸術家はありえない。いや、むしろ、小さいものたちのために書くのに、十分、偉大であるように、すべての人が努力しなければならない。

既成の世界のまねではない、歌詞においても、旋律においても、色調においても、子どもの精神と子どもの声から出発する、オリジナルな曲を書かねばならない。

(中川弘一郎編・訳(1997)『コダーイ・ゾルターンの教育思想と実践』全音楽譜出版社 pp.39-40)




 今まで述べてきたことにのっとって、よい音楽家の性格は次のように要約できる。

1.よく訓練された耳

2.よく訓練された知性

3.よく訓練された心

4.よく訓練された手

 4つは全部いっしょに、いつも均衡をもって育てなければならない。

 4つは全部いっしょに、いつも均衡をもって育てなければならない。1つが遅れても進みすぎても良くない。今までは第4の項目だけを見て、あとの項目を放ってしまっていた。
 しかし、他の3つの訓練のペースを合わせたら、もっと敏速に、容易に成果を上げていたであろう。
 もし、リズムの基本的な間違いを器楽レッスンで直すようなことをせず、よく知っている曲の内容と形式を分析し、曲を知的な精神で理解したなら、指によって精神を知ろうとするよりはずっと早く諸君たちは指を支配に導き、正しい道を見出すことであろう。
 ちょっとした成功とか見せかけの成功は、巨匠とか他の芸術家の真似で到達できる。しかし最初の3つがなくては、独創的な作品を作ることはできない。
 第3の項目については、どんな学校のカリキュラムにおける授業にもみることはできない。だが問題となるのは大部分この分野にある。しかし教室では教えることはできない。心理学が助けられるかもしれないが、人生経験、大作家の書物の読書、大芸術家の作品研究がそれを教える。

(中川弘一郎編・訳(1997)『コダーイ・ゾルターンの教育思想と実践』全音楽譜出版社 pp.100−101)