ハンガリーの合唱指揮者ウグリン・ガーボル(Ugrin Gábor:1931-2013)氏の
ご逝去に際し、心からご冥福をお祈りいたします。

Condolences for Liszt, Kodály and Bartók Pásztry Award Choir conductor Ugrin Gábor



Kodály Zoltáln Beseeching /Szép Könyörgés
conducted by Professor Ugrin Gábor. Song: Fukushima Kodály Choir


ウグリン・ガーボル指揮 コダーイ・ゾルターン作曲「美しき悲願」
http://www.youtube.com/watch?v=oYVvFT8a3B4
 ウグリン氏は、リスト音楽大学卒業、リスト賞、バルトーク・パーストリ・ディッタ章、コダーイ賞を受賞しています。ジュネス混声合唱団を指揮し、BBCの合唱コンクールで優勝、元ハンガリー国立合唱団常任指揮者。バルトーク・コンセルバトーリで長年教鞭をとられました。
 お葬儀は、7月11日、ファルカシュレート墓地で12;45分から執り行われ、16日、アヴィライ・聖テレーズ教会でミサが行われます。
 日本には1978年より2010年まで30回近く来日し、東京、九州、北海道、山中湖畔、福島など各地で、ソルフェージュ、合唱指揮、合唱指導などのセミナーの講座を開き、大きな影響を与えました。また、各地で演奏会も開らかれました。
  私は、氏の初来日1978年、博多でソルフェージュの講習会に参加し、これまでにない衝撃的な感動を覚えました。私は、音楽の勉強を始めるのが遅く、ソルフェージュは中学3年で受験のために初めて勉強したのでした。その後、桐朋学園のソルフェージュやフランスのコンセルバトーリの指導法など勉強しましたが、いつも劣等感に悩むのでした。ウグリン氏のソルフェージュに出会って、それは高度に系統立てられたものでしたが、初めてその必要性と誰でもこの方法で勉強すれば、異文化である西洋音楽が、本当に分かると心底納得できる方法だったのです。

 私は、1986年以来2010年まで、ウグリン氏を福島市に19回招聘し、サマースクールを組織して、ソルフェージュ、合唱指揮法、教授法の講習会で指導していただき、20回を超える演奏会を指揮していただき、7枚のCDや1枚のDVDを氏の指揮でリリースしました。特に、CD、EMI東芝の「ハンガリー・ア・カペラの響き」、DVDバルトーク作曲「児童と女声のための合唱曲集」(ライヴ演奏 東京トッパンホール)など高い評価を得ています。
 ウグリン氏は、ハンガリー民謡をこよなく愛し、力いっぱい誇らしく歌われました。それはコダーイの理念の生き証人のような姿でした。また、敬虔なクリスチャンで、日本ではグレゴリオ聖歌を必ず教えられ、Salve reginaをとても愛しておられました。

 氏は、機械的な訓練を嫌い、楽譜に忠実にとことん読まれて、合理的に知識を音楽の理解や共感や愛に換える指導法をなさいました。発音にも大変に厳しい方でした。特に、ハンガリーや日本のように伝統的に多声性を持たぬ民族の多声性の指導法は、驚異的に優れたものでした。氏は、「まず、与えよ、さらば、与えられん」、各パートまずしっかり歌い、歌いながら他のパートを小さく切った五線紙で隠して、他のパートを聴いて、書き取っていくという指導法を編み出されました。ウグリン氏の指導法は、人間的な哲学に支えられていました。ウグリン氏は、大変に豊かな人間性に溢れた方で、音楽だけでなく音楽を支える人間の生活や美術などのお話くださり、それは大きな喜びとなりました。
 福島市でのウグリン氏最後の音楽会は、「―西洋と東洋の巨匠とのであいーハンガリー・ア・カペラ合唱とバリ島のガムランの夕べーウグリン・ガーボル氏とイ・ワヤン・スエチャ氏を招聘してー」でした。ハンガリーからウグリン氏、バリ島からスエチャ氏という両巨匠を招聘しての東洋と西洋と言う2つの異文化の音楽会は私の生涯の夢の実現でもあったのです。

 福島コダーイ合唱団のウグリン氏指揮での最後の歌は、「夕べの歌(Esti dal)」、ハンガリー演奏旅行での2012年3月26日、ブダペシュトのコダーイ博物館ホールと27日バルトーク記念館ホールでありました。
ウグリン・ガーボル氏の心からご冥福をお祈りいたします。コダーイ・ゾルターン作曲「美しき悲願」は、氏が最も得意とされていた作品です。2010年の最後の音楽会での演奏です。どうぞお聴きください。